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蛍の森   石井光太著  新潮社  [読書]

    蛍の森

 日本で会ったこととは思えない筋だ。しかも1952年といえば私が小学校6年生の時だ。全く日本の警察もいい加減なものだ。

 これは1952年と2012年二つの話が交互に出てくる。1952年の記事が読むのに苦痛であった。これは癩病というヘンド(浮浪者)の物語である。

乙彦は母親の深い愛情で育てられていたが、母親が生業で酒を売るために男の言うままになっていた。たまたま赤ん坊が生まれ、それまで妾になっていた深川育造に見つかり、首をくくって自殺する。乙彦は食べ物もなく、小春という仲を得て、癩病者が集合して暮らしているカッタイ寺に寄宿する。そこで彼は小春や虎之助と仲よくなるが、彼だけが癩病者ではない。癩病はなかなか大人にはうつらない。ある日、小春が連れて行った場所で、何十万匹という群れを成す蛍を見て、一生の思い出にする。ただそこには平次という悪人がいて、悪事を働く。彼も、癩病者だ。

住職は非業の死を遂げ、虎之助も相手の善意を信じたため両眼を潰され、最後は自死する。

小春は男どもに輪姦されたり、意に沿わない男との結婚を強要されたりしたが、結局、療養所を逃げ出し、自分の生んだ娘と平和な生活を遂げようとする。

 この娘がこの深川育造、上岡仁の2人を殺し、野村二郎も殺すことになる。それを乙彦が自分のやったことだという。あかりと犬娘(テル子)は崖から飛び降りるが、テル子は死に、あかりははかろうじて助かる。

 最後に乙彦を父とする私は今は目の見えなくなった小春を訪ね、自分の伯母であることが分かり、涙する。小春は自分の血のつながった弟との生活ほど心潤すときはなかったと回顧する。

しかし、これほど辛いめにあいながら乙彦や小春の凛々しい生き方ができたものと思う.

 


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