経済学は人びとを幸福にできるか 宇沢弘文著 東洋経済新報社 [読書]
シカゴ学派に対して、これほどの反対意見を述べる人がいるとは思わなんだ。私が知った限りでは貨幣量のみ操作すれば足り、それ以外は一切触らないというミルトン・フリードマンなどむしろ尊敬こそすれ、けなすなどとても出来た事ではないが。フリードマンが水素爆弾を使ってもてもいいなど言い出すとは思わなんだ。
宇沢氏が文部官僚を攻撃する割には、東大をでて文化功労者や文化勲章をもらったりしている。もう少し官僚群の中に入って内部から改革すればよいのにと思う。
彼は戦後の日本に対するマッカサーの改革を非難している。時期が来るのをひたすら待っていたのだろう。ケインズなどボロカスだ。宇沢氏の主張は社会的共通資本の語につきる。それは市場原理主義では守れないとして、それをもっと育成せねばならないと説く。私にとって懐かしい稲田献一さんの名前を見つけた。彼がよく家族を連れて我々との議論に入っていたのを思い出す。もっとも私はトンと分からず、門外漢でそれに加わったことはないが。2002年5月に亡くなられたそうっだ。
また優秀な経済学者をたくさん褒めている。その中で石川幹子さんの『都市と緑地―新しい都市環境の創造にむけて』の本も推薦があったので読んでみようと思う。
日本では90%の子供達が高校に進学し、大学進学者も40%に達する。教育産業に対する価格弾力性は低く、所得弾力性は高い。このような現状をどうみるか。また森喜朗元首相は日本のことを天皇を中心とする神の国といい、世界中から顰蹙をかったが、このような人物を選ぶ選挙民の気持ちがしれないし、ましてや国会議員たちは派閥の長に選ぶ。すべて金の力だ。稲田先生も、宇沢氏も同じく数学畑出身の学者だ。理科系の人ほどその主張は明快だ。
コメント 0