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不格好経営   南場智子著    日本経済新聞出版社  [読書]

 

     不格好経営―チームDeNAの挑戦

  プロ野球の横浜ベイスターズが買収されてDeNAとなった時、DeNAとは聞いたことも無い会社だと思ったものだ。其の創設者たる女社長の物語だ。

 しかし、率直に言わせてもらえればプログラマーとして勤めるのはともかく、一生そこに勤めるには随分才能のいる会社だと思った。それほど管理職になるには難しい会社だ。要するに生まれつきSEの才能を天分として持った若者向けの会社だということだ。私は勤まらないし、私の息子でもそんな才能はない。

決断を早くするべきだといい、任せるに足る人には何十億円も投資してやらせるというが、大きく成長した会社にそれをさせるにはそれなりの覚悟がいる。経営者はそれによって生きるか、死ぬかの判断を求められている。才能のないものは自然にやめていかざるを得ない。

コンピュータの世界は一部のSEエリートとその他のプログラマーに2局分化が進むといえるが,これからの世の中を暗示しているかも知れない。その代わり利益率は考えられないほど高い。

それにしてもこの女性社長の潔さよ。亭主が癌と分かればさっさと社長の椅子を投げ打って、亭主のために尽くす。仕事を愛し、魅力あるポストであり、自分が創設者なのにだ。

全柔連の上村会長や、プロ野球コミッショナーの加藤会長にしても其の報酬のためだろうが、全く辞める気配を見せない。そのためには何だかんだと言い訳に収支している。自分が作ったわけでもなく、ただ任命されただけなのに。明治生まれの経営者ならさっさと身を引いているはずだ。これを既得権もう亡者と言わずして、なんといおう。


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苦役列車  西村賢太著  新潮文庫   [読書]

      苦役列車 (新潮文庫)

 人生のある断面を切り取ったかのような真実性があり、読むのに苦労しなかった。ここに描かれているような生活をしていたら、普通の小説家のように奥さんをもらったり、子供を作ったりは出来ないだろう。

中卒で、将来への希望もなく、劣等感を抱え、岸壁の冷凍倉庫で日雇いをしている北町貫多(朝日新聞解説)、その日常を描くことでよく芥川賞がもらえたと思う。

 彼は詳しくは書かれていないが、実の父親がとんでもない性犯罪者のため、母方の姓を名のり、毎日金で苦労するその日暮らしの生活を送っている。其の職場で知り合った唯一の友達、日下部もプラッターとフォークリフトの試験に受かったのを機会に別れていく。北町はそれにも興味がなく、将来も見通せない。

「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」は貫多がもう少し歳をとってから腰痛に苦しんでいる。その彼が取りたいと心底思っていた川端賞の落選が決まるまでのお話。

 

 


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民俗と民藝   前田英樹著   講談社選書メチェ [読書]

 

     民俗と民藝 (講談社選書メチエ)

 柳田國男の民俗学と柳宗悦の民藝運動といえば、日本を代表する2つの大きな流れだ。しかし、2人は仲が悪かったらしい。著者はこの二人の業績を結びつけようと努力する。

 柳田國男は自分の学問を新国学と呼び、本居宣長を尊敬し、南方熊楠とも文通する。事件性も殺戮も無い所謂淡々とした平和な常民の生活を描こうとする。それは農民の米の生産、縄文時代に南方から島伝いに渡ってきた人々が築いた農民の米生産に関わるとする。戦や物を奪ったりすることなく、毎年天から授かり、信仰の対象ともなりうる。日本の都市生活者も結局はこの農民の米生産により、生計が成り立つ農業国家だとする。

 一方柳は李朝陶磁の簡素な美の発見により、高麗陶磁の技巧を凝らした、堕落したものとは違った「観念の言葉によって伝えられるのではなく、日常の暮らしの所作によって伝えられる」陶磁を発見する(p.84)。後に彼は木喰仏の発見する。

 柳田國男と柳宗悦の二人に共通するのは人生の最晩年にあたり、沖縄の暮らしを重視したことである。2人ともそこに共通するものを見ていて、沖縄の悲劇を体感する。

 


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永山則夫   堀川惠子   岩波書店  [読書]

          永山則夫 封印された鑑定記録

 

 

 

 慄然とした。4歳で寒い厳寒の中に捨てられた子供がどういうことになるか、しかも捨てられた中に年端もいかない妹や姪もいたという。

私が4歳の頃といえば記憶もないし、その頃母親に捨てられたといえば、その後どんなにして生きていたのだろう。よく小学校や中学校も出られたものだし、学校にもほとんど行っていないという。先生も関わりたくないようだ。しかも兄や姉に対して口答えも出来ず、抵抗すら出来ない。ボロを着、人の捨てたものを食ったりしたのだろう。彼はだれからも愛されることなく死んでいったのだ。

しかも彼は偶々忍び込んだ家でピストルがあり、それによって人を4人も殺したことが死刑になる要因だった。ピストルがなければ彼は従来どおりの極貧の生活のままであり、相変わらずその兄弟に苛められていただろう。

家庭の貧困というより、その両親の無責任さに呆れるばかりだ。だが彼の母親はもっと悲惨な中で育っている。私は石川義博先生が唯一彼の心の闇を暴いたように思える。彼の犯罪もその両親のせいだといえなくも無いと思う。

彼に比べれば私は随分恵まれた環境の下に育ったものだが、私が大学に行っていた頃と全く時代が重なり、自分が背が低く、貧乏だと思っていた。しかし、親の愛はそれなりに受けていたようだ。


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戦後史の正体 1945-2012 孫崎亨 著   創元社  [読書]

    戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)

 最初は阿部政権の憲法改正への応援演説かと思った。岸政権の独自外交路線へ共感がやたらと書かれている。もともとが外務省出身だけに対米関係が中心になるのは止むを得ないにしても現在の阿部総理やその義父の岸元総理がもくろむ憲法改正への応援演説が目立ち過ぎる。憲法改正はいいが、昔の徴兵制に戻るのは真っ平ごめんだ(アメリカの意図はそこにあるのかもしれない)。

 孫崎さんによると、今まで政権交代は全てアメリカの陰謀だそうだ。そういえば私自身、疑問に思ったことがある。何故自己資本比率が8%でなければならないかだ(BIS規制、バーゼル合意)。1988年決められたのだが、これでは日本の銀行は海外進出できなくなってしまう。別に健全経営を誇っている銀行なら例え8%を越えようと、それでいいではないかとおもっていた。これは日本経済の力を恐れるアメリカが策したことと聞けば納得いく。

 米ソ冷戦が終結した後では、アメリカ一国が世界を支配するようになる。日本は今憲法上海外派兵は出来ないようだが、これからアメリカの先兵としてアメリカの軍事大国化に利用されるようことにならなければ良いが。こんなにアメリカが深謀遠慮とは思わなかった。日本の為政者よ、しっかりせよと言いたい。


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ワイドレンズ   ロン・アドナー著  清水勝彦監訳   [読書]

     ワイドレンズ: 成功できなかったイノベーションの死角

 なんだかへんてこりんな、分かりにくい理屈を捏ねているが、この本で書かれている中で最も面白かったのは失敗した具体的な例だ。後は読むに値しないと言えよう。

 大体が何故イノベーションにエコやコーをつけなくちゃならないのか。環境問題に取り組んでいることの証左か。もう少し分り易い言葉に翻訳したらできそうなものだ。

何しても関連する業界がついてくるかどうかは重大な問題だ。それには最終消費者としてのかなりなシェアーを持っていなければならない。そうなれば自分のシェアーをもとにある程度のシェアーを持つことでごり押し出来る。その間の無駄やどういう点に問題があるかも知ることが可能だ。最初からそういった問題点を全部つかめというのは難しい。ある製品の値段を飛び切り安い値段が可能な技術革新をして大幅なシェアーアップを目指す以外に一企業に出来る何か方法があるか。

  ○具体的な失敗

①ミシュランのランフラットタイア……修理工場が高価な設備を必要とする

②ノキアの3G携帯電話の開発……開発したが、普及しなかった。

③ソニーの電子書籍端末……素晴らしい発明品だったが、製品としてはそれに劣るキンドルによってアマゾンが勝利する)

○成功していない例

①吸入インスリンの開発

②電子カルテ

③電気自動車

 

○成功例

    ①ケニアにおけるM-PESA(小額融資制度)

②スティーヴ・ジョブズのipod

 

最後の清水勝彦先生の解説は良かった。

 


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模倣の殺意   中町信著    創元推理文庫   [読書]

   

       模倣の殺意 (創元推理文庫)     

私はこの本を読んでいて何故、津久見伸助と中田秋子がお互いに話し合わないのかとそれを常に疑問に思っていた。そうすればこの事件もすぐに解決するはずであり、その糸口がつかめるはずだと思っていた。そこに大きなカラクリがあったのだ。

秋子は1年前の話であり、ルポライターの津久見伸助は今年の話だったのだ。坂井正夫は同性同名が二人いて、大学ノートを置き忘れていったのは製薬会社に勤め、港区芝浜松町にアパートに住む坂井正夫である。彼はくるな旅館の1室で原稿を書き、その下書きの大学ノートを旅館に忘れてきた。そして昨年の77日に死んだ。一方、北区稲月町に住んでいる坂井正夫は昨年の6月にくるな旅館に泊まり、子供の手術を告げる南療育園からの電話で慌てて宿を発った。推理小説マニアの番頭の手違いから大学ノートに書かれた原稿は誤ってこの坂井正夫に郵送してしまった。

そして後日、第2作目に難渋し続ける坂井はその大学ノートの作をおのれの作品として編集部に渡したのだ。

彼は盗作したが、瀬川恒太郎もだった。柳沢邦夫は瀬川恒太郎の盗作の秘密を知っているが、その誤配の事実を知っているのは中田秋子だけである。結局中田秋子に会いに来た坂井正夫は盗作した本人だった。

 この本は何回も前に遡って見ざるを得なかった。

 


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吉田知子選集第1巻   脳天壊了  景文館書店   [読書]

 

       脳天壊了―吉田知子選集〈1〉

  不思議な感覚になる本。①脳天壊了、②ニュージーランド、③乞食谷、④寓話、⑤東堂のこと、⑥お供え、⑦常寒山の7編が収められている。いづれもこの世の話でありながら、死後の世界とか何とか不思議なことに通じる。それには著者の79歳という年齢も影響しているのではないか、それとももともとこのような作風なのか。

① 使用人として虐待といえるような状態にあった杢平が主人の中瀬が死んだことにより、昔のことをいろいろ思い出す。

② 名も無い主人公がニュージーランドへ行きたいと船に乗るが、一向にニュージーランドに到着しない話。

   蟹トク子という女の家の隣の空地に乞食と思われる人達が住み、喧嘩する。

   桑木石道とその子の栄光と挫折の物語

   殿様の息子で、明治10年生まれ、昭和3811日に死んだ東堂の生涯

   神様として祭られる女性の話

   腰の曲がった老女と明夫の話が交互に出て来る。明夫と登山に一緒に行く下村一平は同一人物か、同性愛の関係か?

なんだか、わけの分からん小説集だ。


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 銀座並木通り   池波正太郎著~初期戯曲集~  幻戯書房  [読書]

      銀座並木通り 池波正太郎初期戯曲集

 銀座並木通り、冬の旅、夫婦の3編があり、銀座並木通りと夫婦は上演されている。池波正太郎といえば「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など小説が有名だが、「鬼平犯科帳」はテレビで2時間スペシャルもののみをみ、剣客商売はあほらしくてみないが、小説家として有名な人だ。

著者はこれを書いて「顔があかくなると言う」が、最後の夫婦といい、見事なもので心にしみいる。著者の素質を感じさせる。

いまの時代、やはり東京を羨ましく思う。

 


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観測がひらく不思議な宇宙   平林 久 著  東洋書店   [読書]

 

      観測がひらく不思議な宇宙 (科学と人間シリーズ) 

  この本の著者は東大物理学科出身者で、数学的才能を持つばかりか、なお剣道6段の腕前である。しかも歌人ときている。私もこのような人が書く一般書、しかも観測が分からなくてはと挑戦したが,あえなく沈没した。

 電波望遠鏡と聞くだけで門外漢であるばかりでなく、その内容にいたっては全くチンプンカンプンだ。かろうじて理解できたのは宇宙に関する知識は日進月歩だが、それでも大きな謎を秘めていることぐらいだ。おそらく宇宙の謎はノーベル賞の対象として、これからも人類のあくなき追求の的となるだろう。人間には私達の到底及ばない才能を持って生まれた人達がいるのだ。この著者がいなくては、地上の電波望遠鏡を組み合わせた口径3万㎞の仮想望遠鏡を作り上げて、「はるか」を見ることは出来なかったであろう。

また、「このギリギリの距離をシュバルツシルド半径と呼び、これは天体の質量に比例します」(p.58)とあるが、私の知識では、シュバルツシルド半径、天体の質量ははじめて聞く言葉であり、一体何を意味しているのか。天体の質量とは、どのようにして計測するのか。私には分からない。


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知の逆転    吉成真由美著  NHK出版新書  [読書]

 

      

 

      知の逆転 (NHK出版新書 395)

 この本にはシャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンの6人との対談集である。シャレド・ダイアモンド以外、私のまったく知らない人達である、。彼等に共通しているのは世間に迎合しないことであり、人類の未来を悲観的にみていることである。シャレドは「文明崩壊」の本を書いた人だ、それもこの本を読んでいて初めて気がついた。

   シャレドは言語の獲得こそ人類を飛躍させた。人生の意味を問うことは全くナンセンス

   アメリカが考えていることは核抑止でなく、核支配だ。広島と長崎への原爆投下は最もひどい犯罪の一つである。市場主義は必ず破綻し、インターネットは民主主義の土台になるとは考えられない。現代先進国で行われている教育は海兵隊や労働者を作るのには効果的だが、効果について疑問符を呈している。

   サックスは人類とチンパンジーは98.4%の遺伝子を共有している。人類は言語よりも音楽を先に習得した。教育の効果は先生の情熱次第だという。いい先生にめぐり合えなければならない。

   人工知能(AI)の権威であるミンスキーは集団の中に一般的な叡智はなく、個人知能によって叡智がもたらされた。コンピュータはチェスには勝てても、ドアーを開けることさえ出来ない。ミンスキーはSFしか本は読まないという。

   トム・レイトンは数学の達人。今のコンピュータの世界では数学さえ出来ればどんなことでも可能だが、数学の才能はもって生れたもの。しかし、コンピュータに頼る過ぎることは人間の感情を無視する。教育のオンライン化は避けられないという。

   ワトソンはDNA構造解明で2重らせん構造を発見した。16歳までに将来の自分の方向が分かる。

  尊厳死についても理解すべきだという。

  どうも話が支離滅裂だが、どうしようもない。


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藝人春秋  水道橋博士著  文芸春秋 [読書]

      

 

     商品の詳細

 

  私は北野武や松本人志の映画をみたことがあるが、彼等がそれほど有名だとは思わなかった。特に北野武のテレビや松本人志の映画は全く面白くない。しかし、武がテレビで池上彰と聞いた瞬間、「それはいい質問ですね」というのをテレビで聞いてこれはその人の特徴をよく捕らえているな(私の印象に残った言葉だ)と思った。彼の映画は確かに面白いし、それまでの日本映画みたいに殺すぞ、殺すぞと言いつつ最後まで生かすのと比較して、すぐその場で殺してしまうのを見て、こいつは面白い、さすがわと感じ、それから武のテレビは見ることはなかったが、 映画はほぼ全て見た。

 松本人志の「大日本人」という映画はみたし、「餓鬼の使いやあらへんで」は本で読んだが、それほどの天才だとは思わなんだ。この二人をこの本ではベタホメだ。まず人真似でないお笑いを創造するとある。確かに著者と二人で組んだ浅草キッドから見ればこの二人はまさに今の芸能界を常に革新するお笑いの天才なのだろう。

 その他テレビや映画で活躍する数々のお笑い藝人の本当の姿が描かれる。著者が実際に接触した人々で、自殺した人もあれば、とても想像出来ない姿で登場する。お笑い芸人はテレビでそれを見る方の要求がそれを望んでいるのである。演じている芸人達はそれに打ち込まざるを得ない。自分の芸で観客を面白がらせる芸人は武と久志以外にいるのだろうか。そう意味で2人は偉いのだ。


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掏摸   中村文則著   河出書房新社  [読書]

    掏摸.jpg
  一気に読めた。私はこの小説に出て来る万引少年が可哀想でならない。このちょっとやさしくしてくれる天才掏摸師についてくる気持が痛いほどよく分かるような気がする。なぜこのような子供にまで母親が万引きさせるのか。男とのセックスはそれほどいいのか。
 しかし、この本ではその掏摸師が自分の職業や、警察に捕まることなどどうでもよく、ただ金持ちからその技を生かして掏摸まくるだけで、金に執着があるわけでもない。要するに何のために生きているのか分からない。だから貧しい、ボロを着た少年にも心を動かされるのかもしれない。
 掏模はその少年の母親とも性的関係を結ぶ。
最後はこの掏摸師が絶対悪に殺されかけるが、結果は分からない。著者の略歴を読むとこの掏摸師が別の小説の主人公になっているらしい。


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近代秀歌    永田和宏著  岩波新書  [読書]

  近代秀歌.jpg    

 著者の永田和宏は朝日新聞の歌壇選者で、本人の作風からして面白かろうと思って買ったが、やはり感動的である。正岡子規や与謝野晶子、石川啄木、斉藤茂吉等名前を知っている人や、そして名前の知らない人々、皆いい顔をしていて、誰もハンサムだ。
 歌の特徴を述べるなら、上の句の五、七、五と、下の句の七、七が2つあり、それぞれが違った事象を説明する、しかも全体として統一がとれ、悲哀をより深める。そうした面で見ると朝日新聞に掲載されている素人の句は初めから終りまで一本調子だ。これは私がこの本を読んでいての感想だ。
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解錠師  スティーヴ・ハミルトン著  越前敏弥訳  早川書房 [読書]

     解錠師.jpg   

 最初、日付が1年前に遡ったのと現代があるのを知らず、この本の筋がよく分からなかった。途中で気がついて、かなり前まで遡ったが、結局あまりよく分かったとは言えない。せめて目次があればはっきりしたろうにと思う。
 
要はマイクルが自分の恋人とその親を借金漬けから救うために自分の持っている技を生かすという話。
 
イクルという少年は言葉は聞き取れるが、自分でしゃべることは出来ない。彼がどうして言葉を失ったかは最後の方で明かされる。彼は父親の兄貴のリート伯父の世話になり、高校に行く。そこでグリフィンという友達を得る。また彼はバイクと絵を描くことが好きだ。高校時代の最後の日、悪友にそそのかされてマーシュという家の錠をあけて入る。そして警察の厄介になる。マーシュの娘がアメリアといいい、彼は恋する。そして絵で話す。
 
高校卒業後、彼はロスアンジェルスへ行き、ジュリアン、ガナー、ラモーナ、ルーシーという4人組の仲間になっている。彼はハーレイを仲間から誕生日のお祝いにもらったりする。
 
彼は錠を開けることはできるが、さらに腕を磨くためプロの金庫破りのゴーストに弟子入りしている。そして最後に忍び込んだ家で、ガナーは死に、18歳のマイクルは警察に救われる。10年間の刑務所暮らしだ。


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私は河原乞食・考    小沢昭一 著  岩波現代文庫 [読書]

     私は河原乞食・考.jpg       
   小沢昭一がこんなに本が書けるとは思わなんだ。しかも過去の芸人の話を事細かに書き綴っている。そもそも彼が早稲田出身などとはつゆ思っていなかった。赤線地帯が未だあった頃のお話で羨ましくって仕方がない。
 同性愛のいたっては私は全く昭一さんと同意見で、p.322に書かれている通りでなるほどそういうものかと思うばかりである。ただ本当のホモが惚れるのは男らしい女性にもてるタイプで、女にもてないで仕方なくホモに行く奴はホモからも見向きもされないとはまるで自分のことのようだと余計自信を失った。

 このなかで一番面白かったのは「も一つヨイショ〃」だ。三國連太郎、西村晃とともに遊んで若い芸者や太鼓持と珍芸を披露した。そこで太鼓持は一生懸命メモを取っている。それは客の前で披露するために娘の前で演ってみて結果が上々ならそれを演ずるという。しかし、昭一がトイレにたった時に見たのはそのメモを破ってチリ箱にポンと捨てる彼の姿だった。これで昭一は新劇一筋に打ち込んだという(p.399)。私ならどうする、おそらく怒り心頭に発するだろう。ただ素人芸であまり自惚れないようにという忠告だろう。これを読んだだけでもこの本の値打ちがある。

  
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 風と光と二十の私と・いずこへ他十六篇  坂口安吾作 岩波文庫 [読書]

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  初めて読んだ。意外に思ったのは読み易く、かつ滑らかに読み終えたことだ。その小説は自伝的な内容のものが大多数で、著者が自虐的に書く内容とは後の解説に書かれているとおりかなり違っていたらしい。金がないないと言いつつ結構遊んでいる。
 「オモチャ箱」に書かれている主人公の三枝庄吉は、この著者と同じ現実をみる冷徹な目と夢を持ちながらそれを生かせず自殺した。しかし、著者は最後まで自分の生活を厳しい目で見つめ続け、それを私も読者も最後まで読み終えるようにもって云った。
 この小説集で最も面白かったのは、「勉強記」である。クスクス笑いを禁じえなかった。
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経済学に何ができるか ~文明社会の制度的枠組み~  猪木武徳著 [読書]

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 私達が今までGNPが巨大であればあるほどその国が豊かである証拠と考えてきた。しかし、それを個人に還元すれば本当に個人がそれによって幸せになっているのか。様々な個人には自分がこうなれば幸せだという考えがあるはずだ。それが国民所得計算によって一律に幸せだと思わせらる。 GNPの構成要素に分解すれば投資、消費、政府支出等に至るとますますその矛盾が露呈する。
 国民所得計算はあくまで政府が目的とする計算上の問題であって、それが全てと考えることは出来ない。経済的豊かさが全てでなく、個人個人の価値なり、考え方をもっと重視すべきだ。
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田中角栄~戦後日本の悲しき自画像~  早野透著  中公新書 [読書]


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    まるで自分の歩んできた道を読んでいるような気にさせた。「日本列島改造論」は70万部売れたそうだが、そのなかに私もいた。しかし、内容は全て忘れている。今更ながらに時代の違いというか、現代では考えられないような時代であり、異常な時代だったのだ。
 
 しかし、今よりももっともっと国民全体のやる気があり、おおらかだったようだ。自分が豊かになるとともに、何かとうるさくなった。先進国の仲間入りはしたものの、前人未踏の分野に入り、総理大臣はすぐに変り、日本をどうしていくか舵取りが難しい。まさにこの本のあとがきにかかれているとおり、国家像を見失い、技術主義に陥り、ポピュリズムが跋扈する(p.396)。
  田中角栄などは、政治に金を持ち込み、それによって人を動かす。この本の趣旨ははっきりしている。金よりも倫理を重視すべきだ。だから政治思想にしてもアングロサクソンの行き方を真似すれば良いのだ。どうしてそれを持ち込まないのか、日本には日本のやり方があるのだといっても、すぐれた先人の知恵はそっくり真似をすればいいのだ。結局は既得権を守りたいだけなのだ。だから最初の出足が大切だ。今は政治も含めて日本の既得権者が多すぎる。政治制度、皇室、選挙のあり方、組合にしても改めるにやぶさかであってはならない。結局は皆テロには反対しても、金が欲しいし、楽をしたいだけなのだ。

 


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 2013年、インフレ到来    平山賢一   朝日新聞出版  [読書]

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 これほど勉強している人には目を開かされた思いだ。しかし、言っていることが完全に理解できたとは言えないのが残念だ。
 
私は昭和15年の生まれでこれほどの低金利がよくもまあ続くものだと思っている。それは国債がほぼ全て日本人によって引き受けられている結果だと思う。ギリシャのようにヨーロッパ諸国に引き受けられていたなら、日本の国債もおなじ運命になっていただろう。しかし、1%以下の金利によって各銀行なり、郵貯は人件費なり、家賃をまかなっているのだろうが、運用量が多くなければとてもまかない切れないだろう。
  
この本の著者によると、それもぼちぼちというか、最近終わりに近づきつつあるらしく、近い将来、金利なりインフレーションが大幅に上昇するという。
  
それは過去の1940年代、同70年代、2000年代を見ても明らかだ。金利高、インフレが予想されるのは、エネルギー価格の上昇、コンドラチェフサイクル、発展途上国の先進国と比較しての賃金安さの減少、働く世代の減少、そして何よりも中央銀行による通貨大増発だ。それに1940年代と比較しての問題は政府の統制がきかないグローバルマネーの巨大さだ。政府がいくら国債価格の金利を低く抑えようとしてもグローバルマネーはいうことをきかない。家計や政府の負債は今や世界のGDP3倍という水準であり、これは1930年代の恐慌を経験した水準まで世界の負債は達していることを現している。
 
インフレによって最も苦労するのは固定収入しかなく、多くの金融資産を抱える高齢化所帯だ。いつのまにか資産が目減りしている。
 
この最近に迫ったインフレ対策はどうか。証券、金、コモデティー商品、また不動産投資あるが、結局は時間差があり、長期的には消費者物価指数の上昇率と同じ割合でしか上昇していない。またこの本で指摘していないが、一般庶民が売買するときの手数料が高い。
 
著者は物価連動国債への投資を薦めるが、アメリカでは個人が財務省から直接買うことが出来るが、日本では未だ出来ていない。日本でも一刻も早い物価連動国債を個人が直接買えるようになることが望まれる。
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文芸別冊「いしいひさいち~仁義なきお笑い」  河出書房新社 [読書]

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 ののちゃんの著者のインタビュー記事。読むのに1ヶ月以上かかった。いしいひさいちという人は一切インタビューを受けないので有名。私も始めてののちゃんの著者をこの本の中味に描かれている程度知ることが出来た。また、読み終えるのに1ヶ月以上かかっただけに一部読みにくかったが、それでも虫眼鏡片手によく読んだものだ。まあ、それほど面白かったというべきか。いしいひさいちに関する漫画家や小説家の寄稿文も掲載されている。
 
私は朝日新聞にサザエさんに代わる漫画が掲載されたが、そんなに面白いとは思わず、なぜこれが朝日新聞のような大新聞の載るのか意味が解らなんだし、そう思った人は他にもいたらしい。しかし、1991年「となりの山田君」で連載が開始され、ののちゃん漫画と改題された後も連載がつづき、30年以上継続されている。この本を読んでみると多くの賞を得ている人のようで、漫画界では有名で、ギャグ漫画の天才らしい。しかも我々庶民の心をすこしも失わず、持っているのが嬉しい。地の自分を見せている。
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ブラック企業~日本を食いつぶす妖怪~ 今野晴貴著 文春新書 [読書]

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  今話題のブラック企業だ。何ともひどい話だと思っていたが、自分も過去同じように女の子を苛めていた経験を思い出した。まさにブラック企業まがいの発言の数々だ。それもこれも自分は終身雇用と年功序列賃金に守られていたのだ。その当時このような毎年賃金が大幅に上がる事態はいつまで続くのだろうと考えていたが、おそらく私の在職中続いていたのだろう。おかげで今楽をしているが。
 
銀行が他のメーカーに比べて低い賃金体系のままであり、出入りの洋服屋が言った言葉を未だに覚えている。銀行さんは意外と給料が少ないですねだった。その後メーカー各社は下がっていったのに対し、銀行はそのまま上がり続けた結果が今日の事態を招いているのだ。
 企業別組合と業種別組合の差異についてもその良し悪しを判断するのでなく、日本ではそうなっているのだと単純に考えていた。そして支店長が悠々としているのに対し、若い人達が一生懸命働いている。自分もいづれそうなりたいものと考えていた。
 この年功序列、終身雇用、組合制度が今日の悪玉企業の温床になっているのだ。それは将来が安定するからだ。悪玉企業はそうした若者の正社員になりたいという希望を利用し、新卒者の大量採用、大量解雇をし、社会に迷惑を掛けている。一部上場企業でも例外ではない。私たちも正社員かどうかでその人の職場環境を区別する。正社員以外は何ぼ働いても定年退職後の生活は安定しない。今は給料が安くても将来その人は社会保険と年功序列に守られてと生活は安定する。
 やはり欧米先進国は優れている。年功序列や終身雇用はないし、職種によって組合が作られている。だから若者も年寄りもその仕事が出来るか否かによって俸給に差がつくし、それは年功によるものではない。皆自分の生活を楽しみ、鬱病など実際の病気以外考えられない。過去の高成長時代は優れていた日本の制度もここへきてがたがきている。思い切ってヨーロッパ先進国を見習うべきだろう。    今の、メーカーは製造業への非正規社員の採用をもとに、正規社員の給料を抑え、国際競争力をつけているとしか思えない。
 私は孫達に薦めている。企業が欲しがる能力を持った人間になれと。そのためには国家資格などぜひ取っておけと。政府や企業は一部の有名大学を出た者以外は、人を使いつぶすだけで、何の保証もしてくれない。労働者個人個人もそれに対し、武装しなければならないと。


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64    横山秀夫著    文芸春秋社  [読書]

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 なかなか見事なサスペンスだ。最初、死体の身元確認するため三上義信と美那子の主人公夫婦が警察署に入るが、自分の一人娘あゆみでなかったことが確認される。あゆみは母親があまりに美しいが、父親に似たため皆から謗られ、その結果両親を憎み、家出する。あゆみは最後までどこに行ったかわからない。妻の美那子は婦警出身だが、大きなショックを受けている。三上は妻の気持が理解出来ない。
 その後はほとんど全て県警本部の警務部と刑事部の内紛の話だ。警務部の赤間部長は、刑事部が警察庁本部から部長を迎える話になり、その準備に大わらわだ。刑事部は大いに反発し、警務部に対し、何かと嫌がらせをする。それは本部から部長を招くことは、刑事部を地元から本部に取り上げることになるからだ。三上は、無言電話を受けたが、それをあゆみからと思っているが、それは妻の美那子と行き違いを生じている原因でもある。
 
三上義信は警視であるが、警務の広報官へ引き抜かれ、いづれ刑事部へ帰りたいと思っている。これまで三上は誠心誠意、新聞記者たちに尽くしたが、被疑者や被害者を匿名にするかどうかで、もめ、警察庁長官の記者会見をボイコットされる。
 
彼は赤間部長から直接、また同期のニ渡真治の動き等から64事件の関係者に当たる。その背景は14年前の1964年、皆からは64(ロクヨン)とよばれているが、誘拐事件が起こり、誘拐された7歳の女子が殺されて発見され、その犯人が上がらないことにある。
 三上は、警察庁長官の記者会見を成功させるために、被害者の父親の雨宮芳男、科捜研の日吉浩一郎(自分が犯人の声の録音に失敗し、事件後半年以内に警察を辞め、その後ずっと部屋に引き籠もりしている)、幸田メモの幸田一樹(彼も今は警察を辞め、ガードマンをしている)、そして同じく被害者の自宅に張り込んでいた柿沼、その責任者の漆原(今はQ署の所長だ)、過去の尊敬する刑事部長、尾坂部道夫、そして大舘(今は脳の後遺症がある)等々。
 64事件をまねた誘拐事件がおこるが、被害者は無事保護される。また同時に松岡捜査第1課長の働きによって64事件の犯人が捕まる。それには雨宮が声の確認を求めて市民157万人の一人一人に電話を掛け続けたことがあった。その間に雨宮は妻を亡くしている。そして幸田とともに犯人の娘をさらった事件である。その犯行日がちょうど警察庁長官の視察日にあたり、当然中止された。二渡と雨宮の目的は適った。
 64事件犯人の自白はなく、あゆみも帰らないし、64以外のことは全て闇の中だ。


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砂浜  佐藤雅彦著   紀伊國屋書店  [読書]

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   何とも気持の休まる本。私の本棚に何年も読まずに残っていたものを、他に読む本もないからと引っ張り出して読んでみた。また2004年の出版なので本屋の出版物にもないだろうと思っていたが、何と今でも販売されている。
  洋次を中心とする小学生から中学生になる世代が、海の傍で泳ぎを通じて段々成長していく過程が書かれている。青い空、白い雲、緑の松林等波の穏やかな御浜での生活が絵入りで詩のように描かれており、著者のおそらく自伝的思い出がこもっているのであろう。
   読みきるに1時間とかからないが、
今の時代の雰囲気にマッチしているのではないか。


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日本型リーダーはなぜ失敗するのか 半藤一利著  文春新書  [読書]

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  第二次世界大戦での日本軍がなぜ負けたのか、その敗因を指揮官のリーダーシップのなさに求めている。平時とは違っていようが、これを読んでいて日本人そのものにリーダーシップがないのではないかと思われる。最初は自分の考えそのものを改めねばならないかと思ったが、そうではなさそうだ。 この本では実質的に戦略なり、戦術を決めるのは指揮官を補佐する参謀にあるとする。指揮官に必要なものは、勇気、理性、沈着、意志、忍耐力、感情、強い性格(p.35)であり、権限はあれどもその結果の責任はとらない、戦略、戦術は参謀という大学出の優秀な人材に任される。
 
指揮官が前面に出てまっさきに殺されるのはよくない、みんなで指揮官を守らねばならないというのはその典型だろう。 参謀には6つのタイプがあるという。①書記官型 ②分身型 ③独立型 ④準指揮官型 ⑤長期構想方 ⑥攻略担当型 を挙げ、優れた参謀の条件として1番目は指揮官の頭脳を補う、2番目に部隊の末端まで方針を徹底させる、3番目に将来を察知する能力を有することを挙げており、その具体的な良い例、悪い例を戦争の各場面で示している。なかにはすぐれた人もいるにはいたが、それはむしろ例外に属するのではないか。参謀任せの「太っ腹リーダー」が生み出された(p.253)。アメリカ人のニミッツ提督からも日本人は1回成功すると、同じことをする傾向があると喝破される(p.233)。
 
東日本大震災を見ても、戦時、平時に関わらず、指揮官のリーダーシップは単なる教育の結果ではなく、もともと日本人には備わっていないのではないか。全部部下のせいにして、平然としている。だから皆指揮官になりたがる。責任を部下に転嫁して、自分は威張っているだけでいいのだから。
 私のかねてよりの考えは、日本人は農耕の民であって、牧畜の民ではないことだ。牧畜界ではリーダーの判断によってその集団が死ぬか、生きるか決まる。農民は一人、一人土地を持ち、自分なりの考えで作物を作り、その責任は全て農民個人が被る。大体日本人は決断しない。それが集団の生死に関わることがないからだし、それによって責任を問われることがないからだ。日本の政治家が良い例だ。国会で何を言っているのかよく分からないし、若い人はまず新聞を1面からでなく、最終頁から読む。それもこれも国会答弁が面白くないからだ。


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池上彰のお金の学校  池上彰著  朝日新聞出版  [読書]

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 同じ著者の政治の学校を読んで、この本も読みたくなった。分り易く、面白い。全ての項目について、知ってはいたが、それを確かめると同時に、なぜ豊かな国の通貨がこの非常事態に高くなるのかよく理解できた。日本は私達が必死に働いている間に、いつのまにか金利の低い、世界で2番目の豊かな国になっていたのだ。1位は勿論USAだが、この日本ほど自分のことしか考えない政治家はいないだろう。
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無罪   スコット・トゥロウ著  二宮磐 訳  文藝春秋 [読書]

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小説は予想どおり面白かったし、最後の頃はあっというまに読み終えた。サスペンスの常だ。
  何故欧米人は女性が腿も露わに出している姿をみても平気なのか、かねて疑問に思っていた。私はその姿を見て失礼ながら欲情を禁じえない。何とかそれに抱きつきたく思うし、股にきゅっと挟まれたい。よく日本人の男性は黙っているなと考えていた。
  欧米人はそれに慣れているのだ。若い女性もそれだけ性の解放が進んでいるのだ。ここに出てくるアンナにしても何人も経験し、セックスの相性も含めて自分にとって大切な人かどうか決めているのだ。日本のようにセックスは度外視して、あるいは男女間の最後の手段と考えて行動しているわけではないのだ。男と女の間でセックス抜きにして何が考えられるのだ。それだけ真面目に考えているのだ。だからこそ女の美しい裸を見ても当然のことと思い、何も感じられないし、女が美しく装うのも出来るだけいい男をつかまえたいためだと考えているのだ。セックスこそ最も大切なことではないか。やがて日本人もそのスタイルになるだろうが、しばらくときが必要だろう。
 それにこの小説に出てくる人達は真面目で、知的レベルも高い人達だ。その知的レベルも高い人達ですら、何人も経験する。さいごに刑務所を開放された主人公のラスティ・サビッツにしてもローナ・マーフィーと付き合い、一緒に寝ており、子供のナットもそれを何とも思わない。日本では遺産相続だ、何だと騒ぎ過ぎる。私もこのようなアングロサクソンの習慣を羨ましく思う。ただ現に妻もいるが、セックスはなしだ。
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メイドめぐり   鹿島田真希著  河出書房新社  第147回芥川賞受賞作 [読書]

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   芥川賞は直木賞に比べて面白くない。どうして私がこの本を買ったか。未だに分からない。
 
「冥土めぐり」は今は亡き父親との優雅に過ごした生活の思い出のみを生きがいにしている母親と借金ばかり重ね、ついには母親の生活まで破綻させてしまう弟との生活が描かれる。そして母親や弟の望まない結婚をし、その後脳の病気から半身不随になる亭主との生活。彼女は過去に母親と行った思い出のホテルに行く。そこで昔と違ったホテルの様を自虐的に感じる。彼女はどっちみち母親や弟に金をとられるだけの亭主との生活にも諦めに似た感覚で(夫が脳の病で倒れた今はそれもない)、生活している。
 
「99の接吻」は母親とその子4人の生活が、一番下の菜々子の目から描かれる。菜々子は母親と姉3人とそれぞれに個性を尊重しつつつきあっている。母親は既に亭主とは離婚している。一番上の芽衣子姉さんが恋したSという男性がいつのまにか3番目の葉子姉さんに取られる。すったもんだしたものの、結局Sは葉子姉さんとも破局する。そして再び4人仲良くリビングで過ごしているお話。


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日本のわかる―池上彰の政治の学校―  池上彰  朝日新書  [読書]

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  私は自分の読んだ本を読めと紹介したことは、あまりないが、この本は、皆さんに、特に選挙に行かない若い人にぜひ読んでもらいたい。
 私は今の日本の閉塞状態は一にも、二にも政治に対する不信感に根ざしていると思う。かくいう私も本格的に選挙に行きだしたのは20年前くらいからだが。言い訳するわけではないが、昔はそれでもよかった。日本は高成長を続け、政府はただ民間が血を吐く思い出で稼いだ分から分け前をとるに過ぎなかったからだ。その間、政府は短期的な利益ばかりを追い、既得権者を増やすだけで、長期的視野にたった不人気政策を採らなかった結果のせいだ。未だに公共事業だ、新幹線だと言っている人間を見ると、特に政治家にしてそういうことを言っている奴を見ると、この男は日本のことを考えているより以上に、自分の当選しか眼中にないのだと思う。要するに政治家になるのも自分の商売だと考えている。日本の行く末など全く考えていない。
 
デンマークでは消費税率は25%だが、医療費、教育費は無料だ。しかも投票率は80%を切ったことがなく、それだけ国民の政治意識が高い。また出生率の低かったフランスでも手厚い子供手当てのおかげで出生率が上がっている。日本みたいに子供手当てが公約より減らされた上、子供の扶養控除がなくなる等中途半端なことはない。これじゃ日本がよくなるわけがない。 


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Ebony and Irony 長崎訓子  短編文学漫画集  [読書]

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   確かに面白い。が、1470円も出して買う本ではない。他の漫画並みの値段で十分だろう。高いし朝日新聞にも載っていたし、買う値打ちが有るだろうと思ったのが間違いだった。ただ、表紙の絵は素晴らしい。
 
化粧(川端康成)、満願(太宰治)、天国へ行った男の子(倉橋由美子)、きのこ会議(夢野久作)、冬の蝶(星新一)、パンを踏んだむすめ(アンデルセン)、マリーのものがたり 5人の死者(ブルターニュ幻想民話)、道成寺(能)の7編だ。原作も読んだことはないし、漫画自体もあまり面白くもない。 
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