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あんぽん―孫正義伝―  佐野眞一著  小学館 [読書]

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 虚実入り混じって、馬鹿らしいと思ったり、深刻に考えたりした。私はこの本を読むまで孫正義という人が在日朝鮮人とは明確に知らなかった。しかし、日本での差別はかなりなものであったろうとは想像できる。その差別にもかかわらず、実業家として成功し、よく日本人に帰化したものだと思う。弟さんは東大を卒業したし、本人も日本の高校を中退してまでアメリカのカリフォルニア大学を卒業しただけあって、将来のIT化を見通していたのだろう。この本の著者が2度目に孫家の故郷をおとづれたとき、韓国人が孫正義の祖父が3人の子供(3番目は孫正義の父親)が生まれるまで韓国にいただの、東区区長が黒塗りの立派な車でその墓へ乗りつけたり(これは事実)、一直孫子会館の館長が曽祖父同士従兄であったなどという話は笑えてくる。孫正義が有名になったからこそあとからついてくる話で、それもこれも孫正義が成功したからこそだろう。彼の出自がどうであろうと彼が成功し、今をときめく人間であることに間違いはない。
 しかし、その父親も偉かった。個性そのものだが、九州一のパチンコ王となり、財を築いたのだから。そのバックが無ければ孫正義もアメリカへ行けたかどうか。著者はその前に孫氏の母親系の故郷にも行っているが、そこでは何の噂も事実も無い。これは男尊女卑系の伝統からすればもっともなことで、しかも、著者は肝心の孫氏の母親の国本玉子さんには面会できなかったようだ。おそらく拒絶されたのだろう。私は彼の著作「旅する巨人宮本常一 にっぽんの記憶」を読み、その感想文も書いた人だ。
 
孫氏は佐賀県鳥栖駅前の朝鮮部落に生まれ、石を投げられ、差別された在日の少年だが、その人がここまでなったのには大きな試練があったと思う。何故アメリカ人にならなかったのか。もっと自由に発言でき、日本人にも尊敬されただろうに。アメリカでは既に孫のような商売はいくらでもあり、日本が遅れていてそれが資金のある孫氏の目にとまったのであろうか。
 
ペーパーになった本を読んでいる私の感想を一言。孫氏はペーパーがなくなり、間違いなくデジタル本にとってかわられるとあるが、私はそれは絶対に無いと思う。
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